こんばんは、タッツ(@tatsuvish222)です。
今回は10月17日におこなわれたプロ野球ドラフト会議の総評です。セリーグ編とパリーグ編の2回に分けて更新します。
セリーグでは”BIG3”のうち、奥川恭伸投手(星稜高)が3球団競合の末ヤクルトに、森下暢仁投手(明治大)が広島に単独で指名されました。また石川昂弥選手(東邦高)も3球団競合の末に中日と相思相愛になりました。
その他阪神は外れ1位で西純矢投手(創志学園高)を指名するなど高校生を重視、DeNAは1位に二遊間の森敬斗選手(桐蔭学園高)などバラエティに富んだ指名、巨人はクジを2回外してしまったものの1位の堀田賢慎投手(青森山田高)などポテンシャルの高い選手を指名しました。
全球団、全選手に触れてコメントしていきますので最後までお付き合いください。
パリーグ編はこちら
巨人
×奥川恭伸
×宮川哲
1 堀田賢慎 投手 青森山田高
2 太田龍 投手 JR東日本
3 菊田拡和 外野手 常総学院高
4 井上温大 投手 前橋商高
5 山瀬慎之助 捕手 星稜高
6 伊藤海斗 外野手 酒田南高
育成1 平間隼人 内野手 徳島インディゴソックス
育成2 加藤壮太 外野手 武蔵ヒートベアーズ
リーグ優勝はしたものの投手陣に不安を残す巨人は、即戦力として奥川投手を見込んでいたと推測できます。続けて西武と競合になった宮川哲投手(東芝)も同様で、このクジを外したところで素材として評価の高かった堀田投手を1位で指名しました。堀田投手は急成長中であり、2019年のCSでも登板した戸郷翔征投手(2018年ドラフト6位)に重なる部分があります。
2位では高卒3年目の社会人の太田投手を指名しましたがこちらも素材型であり、出てくるまでには半年程度かかるでしょう。真っスラ気味のストレートとフォークが武器の長身右腕です。
若手の右の外野手が不足気味の中、3位には菊田選手を指名しました。岡本和真選手に近いイメージの選手です。
4位の井上投手はキレのいいストレートが武器の左腕で、杉内俊哉コーチの指導に期待がかかります。5位の山瀬捕手は強肩が武器ですが守備面に粗さも残るため、じっくりと経験を積みたいところです。6位の伊藤選手は今期屈指のロマン砲であり、山下航汰選手や加藤脩平選手との競争が期待されます。
育成1位の平間隼人選手は俊足と思い切りのいい打撃が持ち味で、プロではユーティリティとして活路を見出したいところです。育成2位の加藤壮太選手は大型外野手で、亀井義行選手の後継者になれる素材です。
即戦力と呼べる投手は逃してしまったものの、投打に大型の選手を多く加える結果となりました。
DeNA
1 森敬斗 内野手 桐蔭学園高
2 坂本裕哉 投手 立命館大
3 伊勢大夢 投手 明治大
4 東妻純平 捕手 智辯和歌山高
5 田部隼人 内野手 開星高
6 蝦名達夫 外野手 青森大
7 浅田将太 投手 有明高
二遊間が課題と言われ続けているDeNAですが、ついに1位での指名に成功しました。森選手は身体能力は文句なしの一方遊撃守備には課題を残しており、外野での起用も有り得るでしょう。しかしまずは遊撃手として勝負をし、ものにしてほしい素材です。
2位と3位ではDeNAらしく、即戦力の先発投手を指名しました。坂本投手は総合力で勝負するタイプで、先輩の東克樹投手に続きたいところです。3位の伊勢投手は粗削りではあるものの、技巧派としてハマった時はプロでも試合を確実に作るでしょう。
4位の東妻捕手は打撃の評価が高く、将来的には外野手で起用される可能性もあります。まずは2軍でも打撃力を活かした起用が中心になるのではないでしょうか。5位の田部選手は完成度の高い遊撃守備を持っており、森選手と二遊間を組むことが期待されます。
6位の蝦名選手はロマン型の右の外野手で、チームにはいないタイプです。7位の浅田投手はなぜかここまで残っていましたが、高校日本代表では野手としても起用されたセンスの高い選手です。
昨年は小園海斗選手(現広島)を逃し、二遊間の補強ができませんでした。しかし今年は好素材を2人指名でき、守備型の大和選手と柴田竜拓選手をおびやかす存在として明るい兆しが見えてきました。
阪神
×奥川恭伸
1 西純矢 投手 創志学園高
2 井上広大 外野手 履正社高
3 及川雅貴 投手 横浜高
4 遠藤成 内野手 東海大相模高
5 藤田健斗 捕手 中京学院中京高
6 小川一平 投手 東海大九州キャンパス
育成1 小野寺暖 外野手 大阪商業大
育成2 奥山皓太 外野手 静岡大
阪神はクジで奥川投手を外してしまったものの、高校生投手で3番目の評価を受けていた西投手の指名に成功しました。近年では12球団屈指の投手育成力を見せる阪神にはうってつけでしょう。
3位の及川投手も入る球団によって差が出るタイプですが、阪神なら安心して預けられます。
野手のプロスペクト不足が課題の阪神ですが、まずは2位で井上選手を指名しました。言わずと知れた世代屈指の大砲です。4位の遠藤選手は高いセンスが魅力の内野手で、鳥谷敬選手の後継者として期待が集まります。5位の藤田選手も世代屈指の完成度を誇る捕手です。
6位の小川投手はキレのいいストレートが武器で、阪神ならスラッターを覚えさせて夏ごろに1軍に上がってくる姿が想像できます。
育成では小野寺選手、奥山選手と右のロマン型外野手を2人指名しました。いずれも中堅を本職としており、外野手の打力強化への意気込みを感じさせる指名となりました。
投手育成への自信と、野手の整備を目的としたわかりやすい指名となりました。来年は鳴尾浜が盛り上がることでしょう。
広島
1 森下暢仁 投手 明治大
2 宇草孔基 外野手 法政大
3 鈴木寛人 投手 霞ヶ浦高
4 韮澤雄也 内野手 花咲徳栄高
5 石原貴規 捕手 天理大
6 玉村昇吾 投手 丹生高
育成1 持丸泰輝 捕手 旭川大高
育成2 木下元秀 外野手 敦賀気比高
育成3 畝章真 投手 香川オリーブガイナーズ
広島は競合覚悟だった森下投手を一本釣りすることに成功しました。投球だけでなく打撃も優れているため、最もセリーグ向きの先発投手です。2位でも同じく東京六大学から宇草選手を指名しました。俊足が武器の外野手で、長打力もあり内野手としての経験も持ちます。
3位以下はスカウト陣が好評価した選手を軒並み指名していきました。3位の鈴木投手は先輩の遠藤敦志投手のように2年目で出てくるのではないでしょうか。4位の韮澤選手は多少の粗さを残す大型内野手です。昨年のドラフトで指名時に課題の多かった林晃汰選手を順調に育てている広島であれば、十分に期待が持てます。
5位の石原選手はスローイングとしっかり振る打撃が持ち味で、同性の先輩の後釜を狙います。6位の玉村投手は大学に行けば4年後にはドラフト1位になれる素材で、先発として大きく育てたい投手です。
育成1位の持丸選手は癖のない打撃が武器で、すぐ支配下を勝ち取るのではないでしょうか。他のポジションでの起用も視野に入るでしょう。育成2位の木下選手は元投手であり、強肩の大型外野手として大成が望まれます。育成3位の畝投手は、プロで勝負するなら武器が欲しいです。
即戦力投手がもう一人ほしいところでしたが、そこは佐々岡真司新監督の運用にかかってきます。今回の指名は、育成の自信を感じさせます。
中日
1 石川昂弥 内野手 東邦高
2 橋本侑樹 投手 大阪商業大
3 岡野祐一郎 投手 東芝
4 郡司裕也 捕手 慶応義塾大
5 岡林勇希 投手 菰野高
6 竹内龍臣 投手 札幌創成高
育成1 松田亘哲 投手 名古屋大
中日は世代No.1の大砲、石川選手と相思相愛が実現しました。俊足も武器で、仮に三塁手としてものにならなかったとしても外野手として育てられる選手です。昨年のドラフトで根尾昂選手と石橋康太選手を指名しており、これで野手の整備がひと段落した形になります。
2位と3位ではDeNAと同じように即戦力の先発を左右で指名しました。2位の橋本投手は今秋にノーヒットノーランを達成しており、好調を維持してプロ入りしてきます。3位の岡野投手は社会人屈指の技巧派で、打たせて取るスタイルは守備のいい中日内野陣と相性抜群です。
4位の郡司選手は攻守に課題はありますが、長打力が武器の慶應の4番捕手です。5位の岡林投手は粗削りながら最速153kmのストレートが武器である一方、俊足と打撃センスにも高い評価がついています。
6位の竹内投手はややスリークォーター気味のフォームであり、良かった時の田島慎二投手のようにゴロを打たせる投球術を身につけたいところです。育成1位の松田投手はまだ野球歴が浅く、今後さらに伸びていく可能性があります。こちらも地元枠であり、相思相愛に近いのではないでしょうか。
即戦力の先発も地元の大砲も指名した中日は、来季いよいよAクラス争いに名乗りを上げます。
ヤクルト
1 奥川恭伸 投手 星稜高
2 吉田大喜 投手 日体大
3 杉山晃基 投手 創価大
4 大西広樹 投手 大阪商業大
5 長岡秀樹 内野手 八千代松陰高
6 武岡龍世 内野手 八戸学院光星高
投手に課題のあるヤクルトは、1~4位までわかりやすく即戦力投手を指名しました。1位の奥川投手は高校生でありながら菅野智之投手(巨人)のような完成度で、体力が持てば1年間ローテーションを守れるでしょう。
2位の吉田投手は先発でも中継ぎでも即戦力の投手で、全体の13番目に指名されるのは誰もが納得する実力者です。3位の杉山投手は3年秋からやや不調ですが、馬力のある投手でまずは中継ぎ起用が見込まれます。4位の大西投手は135kmを超える変化球を2種類持っており、緩急を覚えて先発に入りたいところです。
5位と6位では好素材の遊撃手を2人指名しました。長岡選手は甲子園出場はないものの、打撃力は十分な選手です。武岡選手は甲子園での活躍は記憶に新しく、高校日本代表でも出場機会の少なさに疑問符が付くほどでした。
野手の育成力には定評のあるヤクルトだけに、投手陣を整備すれば常時優勝争いができるチームに変貌することでしょう。